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キチスカ #002を開催します!

kichijojiscala.connpass.com

少し間が空いてしまいましたが、第二回を開催します。

今回も、「Scala関数型デザイン&プログラミング ―Scalazコントリビューターによる関数型徹底ガイド」の読書会という形式でやりますが、LTや環境構築とか、基本的な文法の話とか、気軽に聞いてみて下さい。

あらかじめ、こんなことが聞きたい・話したいことが有る、という人はイベントページのコメント欄に書いておいて頂けると準備します!

「Scala関数型デザイン&プログラミング」を読み進める - 第1章、第2章 -

「Scala関数型デザイン&プログラミング」のexerciseを解き進めるための環境準備をだいぶ書き換えて、読み進める上での準備作業を全部網羅してみたので、改めて「Scala関数型デザイン&プログラミング」を最初から読み進めるためのガイドっぽいことを書いてみます。

今回は第1章と、第2章までです。

第1章 関数型プログラミングとは

第1章はおもに「副作用の排除」について書かれています。

冒頭のコードが実際に実行できない(外部のAPIに依存している、という設定)なのと、コード事例自体があまり副作用の排除によるメリットが見えづらい(テスタビリティが上がったことを実感しづらい)コードになっているので、理解しづらいところがあります。

本当は、「コーヒーの代金を課金する」という本質的な機能はそのままで、その後の色々な機能拡張(まとめて払うとか)のときに重複が上手く排除できたことを示せると良いのでしょう。しかし、そこまでやると紙面も使いすぎてしまうので、かなり急ぎ足の解説になっています。なので、まずはざっと読んで、先に進める方が良さそうです。

実際に、外部のAPIや、再現性の低い機能(時刻とか、乱数だとか)などを対象にテストで苦労したり、随時に行った機能追加でまったく重複したコードを書いた経験が無いと、メリットが理解しづらいかもしれません。

第2章 Scala関数型プログラミングの準備

以降、本を読んだだけでは分からなさそうな箇所をポイントを絞って解説していきます。

2.1 速習:Scala言語

Scalaという言語の解説が始まります。わりとコンパクトに、分かりやすくまとまっていますが、objectキーワードで作られるシングルトンの解説がポイントです。

Javaではデザインパターンの一つとして使われているシングルトンがScalaでは言語仕様として用意されています。機能としては書かれていますが、あまり存在理由というか、そのメリットについては書かれていないので、デザインパターンなどの解説を(実装方法は別として)読んだ方が理解し易いでしょう。

2.2 プログラムの実行

scalacscalaコマンドを使ってコードを実行する方法が説明されています。sbtからの実行方法については、下記の記事を参考にしてみてください。

「Scala関数型デザイン&プログラミング」のexerciseを解き進めるための環境準備

2.4 高階関数:関数に関数を渡す

高階関数という用語が難解なイメージを抱かせますが、Java8ではラムダ式LL系言語やJavaでも無名関数と、実際には割とよく使われている概念です。

自分がいままで使ってきた言語でどう実現されているか、振り返ってみると分かりやすいでしょう。

再帰も同様に、まずは自分が使ったことのある言語で試してみると良いでしょう。

exercise 2.1

アルゴリズム系では定番の、フィボナッチ数列を求める関数の作成です。

関数のひな形は、以下のファイルに書かれています。

exercises/src/main/scala/fpinscala/gettingstarted/GettingStarted.scala

初期状態では下記の通りのコードになっています。

object MyModule {
...
  def fib(n: Int): Int = ???
...
}

見慣れない???は正しいScalaの構文で、コードが未定義であることを示すメソッドです。実行するとNotImplementedErrorの例外が送出され、実行時エラーになります。

まずはこの???を削除して、解答となるコードを書いていきます。回答はanswerの同名のファイルに書かれています。

ここでもフィボナッチ数列と、Scalaにおける再帰を一度に理解しようとすると混乱してしまうので、まずは既に理解している言語で再帰を使って記述してみることをお勧めします。

コードを書いたら、以下の手順で実行します。サンプルコードではMyModuleというobject内に定義するようになっているので、fpinscala.gettingstartedパッケージをインポートして、MyModule.fibという形式で関数を呼び出します。

$ ./sbt
> project exercises
> console
scala> import fpinscala.gettingstarted._
scala> MyModule.fib(10)
res1: Int = 55
scala> MyModule.fib(0)
res2: Int = 0

2.6 型に従う実装

カリー化や、関数合成と言った重要なキーワードが出てきますが、この段階ではexerciseをどんどん解いていって、先に進める方が良さそうです。

ただし、これらのキーワードはのちのち重要になってきますが、凄くさらっと説明されているので、先に進む上ではこの本以外のソースから定義や使い方を調べておいた方が良いでしょう。

おわりに

あくまで自分が初めて読んだときにつまづいた所を中心に書いていったので、当然別のバックグランドの人は別のところでつまづくと思います。

次回は第3章からスタートです。

Scalaではありませんが、Haskellベースの関数型プログラミングの入門本が増補改訂されたので、ぜひ読んでみたいところです。

「Scala関数型デザイン&プログラミング」を読んで、コードを書いて、実行する - 第3章 -

引き続き、「Scala関数型デザイン&プログラミング」を読み進めて、第3章に突入します。

Listクラスのオブジェクトを作る

第3章はListクラスの実装から始まります。実装したListクラスの内容は詳細に解説されていますが、割とサクっと進むので、実際には実行結果を丁寧に確認していった方が理解が深まります。

まずは、例として紹介されているコード例を確認します。

$ ./sbt
> project exercises
> console
scala> import fpinscala.datastructures._
scala> val ex1: List[Double] = Nil
ex1: fpinscala.datastructures.List[Double] = Nil

scala> val ex2: List[Int] = Cons(1, Nil)
ex2: fpinscala.datastructures.List[Int] = Cons(1,Nil)

scala> val ex3: List[String] = Cons("a", Cons("b", Nil))
ex3: fpinscala.datastructures.List[String] = Cons(a,Cons(b,Nil))

applyメソッドを使ったパターンが載っていないので、以下のように試してみましょう。

scala> val ex4: List[Int] = List[Int](1, 2, 3)
ex4: fpinscala.datastructures.List[Int] = Cons(1,Cons(2,Cons(3,Nil)))

scala> val ex6: List[Double] = List(1, 2, 3)
ex6: fpinscala.datastructures.List[Double] = Cons(1.0,Cons(2.0,Cons(3.0,Nil)))

scala> val ex7 = List[Double](1, 2, 3)
ex7: fpinscala.datastructures.List[Double] = Cons(1.0,Cons(2.0,Cons(3.0,Nil)))

scala> val ex8 = List(1.0, 2, 3)
ex8: fpinscala.datastructures.List[Double] = Cons(1.0,Cons(2.0,Cons(3.0,Nil)))

scalaが型を推論してくれるので、ex7や、ex8のような書き方でもきちんとList[Double]型になっていることが分かるかと思います(ex8ではパラメータが1.0になっていることに注意!)。

まずは、こうやって色々な組み合わせでREPLからListのオブジェクトを作ってみると、オブジェクトの仕組みやリテラルで書いたデータの型がどうのように推論されるのか、分かると思います。

Nothing型

第3章で一番難しいのが「共変」とNothing型の概念です。

空のリストを作ると、NilだけのListが生成され、List全体がNothing型になります。

scala> val e = List()
e: fpinscala.datastructures.List[Nothing] = Nil

そのリストをConsで引数に渡すと、リスト全体の型は有効な値に合わせて推論されます。

scala> val list = Cons(1, e)
list: fpinscala.datastructures.Cons[Int] = Cons(1,Nil)

これは、Nothing型がすべての型のタイプになっていることで実現されていますが、すぐに理解するのは難しいところです。

下記の記事が理解の参考になるでしょう。

kmizu.hatenablog.com

Listクラスのメソッドの実行

最初からsumメソッド(リストの要素の足し算)と、productメソッド(リストの要素のかけ算)が用意されてますが、これも実行してみましょう。

scala> val r0 = List.sum(List())
r0: Int = 0

scala> val r1 = List.sum(List(1, 2, 3))
r1: Int = 6

scala> val r2 = List.product(List())
r2: Double = 1.0

scala> val r3 = List.product(List(1, 2, 3))
r3: Double = 6.0

よく考えると空のリストの積が1.0になるのは正しいのか?という気もしますが、足し算とかけ算が実行されてることが分かります。

コンパニオンオブジェクトの理解

「object型で定義されるものはシングルトンで、同名のクラスが定義されているobjectはコンパニオンオブジェクトで…」という所も、いきなり色々な概念が登場して、Scalaの分かりづらいと感じるところです。

Scalaのコンパニオンオブジェクト」のコラムと、実際のコードを上から順に追いかけるのが理解の近道です。

パターンマッチの理解

パターンマッチもまたScalaの中でも特に強力な機能の一つです。「Scala関数型デザイン&プログラミング」の中では割とさらっと解説されているだけなので、「Scala スケーラブルプログラミング」の第15章「ケースクラスとパターンマッチ」をよく読んで理解することをお勧めします。

Scalaスケーラブルプログラミング第3版

Scalaスケーラブルプログラミング第3版

exerciseを解く

tail

最初の要素を削除するので、実行結果は下記の通りになります。

scala> val list0 = List(1,2,3)
list0: fpinscala.datastructures.List[Int] = Cons(1,Cons(2,Cons(3,Nil)))

scala> val list1 = List.tail(list0)
list1: fpinscala.datastructures.List[Int] = Cons(2,Cons(3,Nil))

ListがNilの場合について特別に言及されていますが、以下のようなオブジェクトに対してtailを実行することを想定すると、いくつかの設計上の選択肢が有り得ることを示唆しています。

scala> val e = List()
e: fpinscala.datastructures.List[Nothing] = Nil

確かに、「先頭を削除する」ということをよく考えて実装を決めた方が良さそうです。

setHead

scala> val list0 = List(1,2,3)
list0: fpinscala.datastructures.List[Int] = Cons(1,Cons(2,Cons(3,Nil)))

scala> val list2 = List.setHead(list0, 4)
list2: fpinscala.datastructures.List[Int] = Cons(4,Cons(2,Cons(3,Nil)))

回答事例のコードでは、Nilを指定すると、Nilが2回格納された不正なリストができあがります(型もAnyになってしまい、sumメソッドが実行できない)。そこまでは考慮されていないようです。

scala> val list3 = List.setHead(list0, Nil)
list3: fpinscala.datastructures.List[Any] = Cons(Nil,Cons(2,Cons(3,Nil)))

テストコードを書いて、結果を確認する

ここまでsbtのコンソール(REPL)を使って実行結果を確認してきましたが、やはり実行結果はテストコードを書いて、テストで確認した方が、何度でも試すことができるのでお勧めです。exerciseで書いたコードをテストコードで確認する方法を紹介します。

Scalaのテスティングフレームワークとしては、ScalaTestか、Specs2がよく使われていますが、ここではScalaTestを使うことにします。

ScalaTest

依存ライブラリの追加

Build.scalaのoptsに、ScalaTestへの依存を追加します。

resolversの最後にカンマを追加するのを忘れないように。

val opts = Project.defaultSettings ++ Seq(
  scalaVersion := "2.11.7",
  resolvers += "Typesafe Repository" at "http://repo.typesafe.com/typesafe/releases/",
  libraryDependencies += "org.scalatest" %% "scalatest" % "3.0.0" % "test"
)

テストコードの追加

exercises/src/test/scala/fpinscala/datastructures/ListTest.scalaというテストコードのファイルを用意します。パスの3番目がtestになっていることに注意して下さい。Javaではおなじみですが、テストコードはtestディレクトリに保存します。

tailメソッドのテストコードは以下のように書けます。

ScalaTestではいくつかのテストスタイルが使えますが、ここでは一番シンプルに書けるFunSuiteを使っています。

最後のshould equalで期待する値との比較をしています。

import org.scalatest._

import fpinscala.datastructures._

class ListSuite extends FunSuite with Matchers {
  test("tailメソッドは先頭の要素を削除する") {
    val listInt = List(1, 2, 3)
    val listDouble = List(1.0, 2.0, 3.0)
    val listString = List("one", "two", "three")

    List.tail(listInt) should equal (List(2, 3))
    List.tail(listDouble) should equal (List(2.0, 3.0))
    List.tail(listString) should equal (List("two", "three"))
  }
}

テストはsbtから実行します。

$ ./sbt
> test
...
[info] ListSuite:
[info] - tailメソッドは先頭の要素を削除する
...
[success]...

最後に[success]が出力されればテスト全体が成功したことになります。テストが一つでも失敗すると[error]が表示されます。

setHeadメソッドのテストを追加してみます。

import org.scalatest._

import fpinscala.datastructures._

class ListSuite extends FunSuite with Matchers {
  val listInt = List(1, 2, 3)
  val listDouble = List(1.0, 2.0, 3.0)
  val listString = List("one", "two", "three")

  test("tailメソッドは先頭の要素を削除する") {
    List.tail(listInt) should equal (List(2, 3))
    List.tail(listDouble) should equal (List(2.0, 3.0))
    List.tail(listString) should equal (List("two", "three"))
  }

  test("setHeadメソッドは先頭の要素を置き換える") {
    List.setHead(listInt, 4) should equal (List(4, 2, 3))
    List.setHead(listDouble, 4) should equal (List(4.0, 2.0, 3.0))
    List.setHead(listString, "four") should equal (List("four", "two", "three"))
  }
}

この後出てくるdropメソッド以降も同様にテストを書きながら進めていくと良いでしょう。

exerciseのコードの中身については次回以降に見ていきます。

Kichijojipm-mini 011を開催しました

kichijojipm.connpass.com

Kichijojipm-mini 011、無事に開催できました!というエントリーをアップし忘れていました…

 

詳しくはメインゲストのcodehexさんのブログを参照くださいませ…。

codehex.hateblo.jp

 

一時は台風でどうなることかと思いましたが、急遽参加いただいた方も含めてとても盛況でした!

「Scala関数型デザイン&プログラミング」を読んで、コードを書いて、実行する - 第2章 -

前回に続いて、「キチスカ002」開催に向けて、「Scala関数型デザイン&プログラミング」の読み方を解説します。

第1章は関数型プログラミングの概念の解説で、なかなか実際に動くコードが出てこないのですが、第2章から実際に動くコードが出てきます。

コードの実行方法

第2章では最初に基本的なScalaのコード例として、「リスト2-1 gettingstarted/GettingStarted.scala」が出てきます。本文中にはコードの解説は有りますが、sbtからの実行方法が書かれていません。このコードは、下記の手順で実行することができます。

$ git clone https://github.com/fpinscala/fpinscala.git
$ cd fpinscala
$ ./sbt
> project exercises
> run

sbtのrunコマンドは、mainメソッドを実行するコマンドですが、サンプルコードのように一つのプロジェクトに複数のmainメソッドが有ると、どのパッケージに属するmainメソッドを実行するか、確認してくれます。

Multiple main classes detected, select one to run:

 [1] fpinscala.gettingstarted.MyModule
....
Enter number: 1
....

今回の場合は、最初に表示されるfpinscala.gettingstarted.MyModuleを実行するとので、1を選択します(1を入力して、enter keyを押下)。

実行結果が表示され、終了します。

The absolute value of -42 is 42

引き続き、[success]...という文字列は、sbtが出力している文字列で、MyModuleの中で定義されたものではありません。

exerciseを解く

あとは繰り返し、コードを書いて、同じようにsbtから実行します。

「Scala関数型デザイン&プログラミング」のexerciseを解き進めるための環境準備

2016/10/16追記:全般的に書き直し

先日、「キチスカ001」と称して、「Scala関数型デザイン&プログラミング」の読書会を開催しました。

今回は1章、2章をざっと進めました。次の「キチスカ002」では3章をメインに進める予定です。

Scala関数型デザイン&プログラミング」の1章、2章は関数型プログラミングの概説や、ごく基本的なScalaの文法(高階関数やカリー化などの難易度が高いものも出てきますが…)などの解説になっていて、3章以降ひたすら例題に沿って、実際にScalaのコードを書くことで関数型プログラミングの理解を進める、という内容になっています。

しかし、もともとこの本はScalaという言語そのものや、関連するツールチェーン自体の入門書ではなく(冒頭にもしっかり書かれています)、あくまでScalaを題材にして関数型のプログラミングや、デザイン(設計)を学ぶための本なので、Scala自体のインストール方法や、実行方法についてはあまり親切に書かれていません。

GitHubに置かれているサンプルコードのリポジトリには例題(exercise)を解くためのヒントや回答がかなり詳細に書かれていますが、本文中ではURLが書かれているだけで、詳しい構成や、使い方ついてはまったく触れられていません。

「キチスカ002」の開催に向けて、例題(exercise)を解き進めるための準備について、以下にまとめておきます。参考にしてください。

環境構築

JDK(Java Development Kit)のインストール

Scalaはご存じの通り、JVM(Java Virtual Machine)上で実行される言語です。そのため、Scalaを使うためにはJDK(Java Development Kit)をインストールする必要が有ります。

Oracleのサイトからダウンロード

JDKのインストール方法はいろいろな所で解説されていますので、ここでは詳細は割愛しますが、自分の環境に合わせてOracleのサイトからインストーラをダウンロードしてインストールしてください。

Java SE - Downloads

Homebrewによるインストール

macOSではbrew caskコマンドでインストールできます。以下の1行で最新版がインストールされます。

$ brew cask install java

OpenJDKのインストール

Linuxの場合は、パッケージマネージャーから簡単にインストールできるOpenJDKを使った方が良いでしょう。

OpenJDK

yumや、aptといったパッケージマネージャーからインストールしてください。

Gitのインストール

Scala関数型デザイン&プログラミング」に記載されているコード例や、例題(exercise)のヒント、解答などはすべてGitHub上のリポジトリに置かれています。そのため、サンプルコードをダウンロードするためには、Gitをインストールする必要があります。

Gitのインストール方法もいろいろな所で解説されているので割愛しますが、公式サイトのドキュメントに詳しく書かれていますので、そちらを参考にしてみてください。

Gitのインストール

macOSではbrewコマンドでインストールします。

$ brew install git

サンプルコードのダウンロード

任意のディレクトリに、サンプルコードのリポジトリをクローンします。

$ git clone https://github.com/fpinscala/fpinscala.git

これで準備完了です。

特にScalaコンパイラをインストールしていませんが、そのあたりの仕組みは次の「sbtの実行」で解説します。

コードの実行準備

sbtの実行

ダウンロードしたサンプルコードのディレクトリに、sbt(Windows用はsbt.cmd)というコマンドが含まれていますので、まずはこれを実行します。

macOSや、Linuxの場合、sbtを起動します。

$ cd fpinscala
$ ./sbt

Windowsの場合は、sbt.cmdを起動します。

$ cd fpinscala
$ .\sbt.cmd

sbtは、`Simple Build Toolという身も蓋もないくらい普通の名前が付けられたScala用のビルドツールです。

sbt Reference Manual — 始める sbt

sbt自体がScalaコンパイラ一式をダウンロードしてくれるので、Scala自体を手動でインストールする必要はありません。

sbtを起動して特にエラーが表示されなければ、準備はOKです。

sbtはひじょうに高機能なビルドツールですが、のちほど説明するprojectcompileconsoleruntestの5つのコマンドを覚えれば、以降のexerciseのコードを実装する上では十分です。

  • project

sbtでは一つのリポジトリで複数のプロジェクトを管理できます。そのプロジェクトを切り替えるためのコマンドです。どのようなプロジェクトが含まれているかは、projectsコマンドで確認します。

  • compile

ターゲットのプロジェクトに含まれるすべてのソースコードコンパイルします。

  • console

    sbtからScalaのREPL(Read - Eval - Print - Loop)を起動します。

  • run

ScalaJavaと同様にプログラムの実行は、main関数から始まります。runは、main関数を実行します。

もし、プロジェクト内に複数のmain関数が含まれる場合は、どのパッケージに属するmain関数を実行するか、選択するためのリストが表示されます。

  • test

Javaや、Scalaでは、テストコードはsrc/test/*ディレクトリに格納されますが、testは、testディレクトリに格納されたテストコードを実行します。

PermSizeの削除

macOSや、Linux環境で実行する際には、sbtコマンドを使いますが、Java8以降では不要なパラメータ(PerlSize)が書かれており、実行のたびに警告メッセージが出てしまうので、Java8以降のJDKをインストールしている場合は、下記の通り書き換えることをお勧めします。

sbtは単なるシェルスクリプトで、実態はsbt-launch.jarにパラメータを与えて起動しているだけです(Windows用のsbt.cmdには最初から記述は有りません)。

変更前

java -Xmx1024M -Xss8m -XX:PermSize=300m -jar `dirname $0`/sbt-launch.jar "$@"

変更後

java -Xmx1024M -Xss8m -jar `dirname $0`/sbt-launch.jar "$@"

brachの作成

以降、コードの実装を始めますが、サンプルコードのリポジトリは今でも日々コミットが続いています。自分が書いたコードを区別するためにも、gitのbranchを作成しておきましょう。

$ git checkout -b myexecirse

コードの実装

サンプルコードのディレクトリ構成は大きく分けて、以下の3つに分かれています。

exerciseと、answerが対になっているので、テキストエディタを上下分けて、それぞれ表示しながら進めるのがおすすめです。

exercise

書籍に掲載されているサンプルコードと、exerciseで書かれている関数のひな形(関数名と、引数、返値だけが書かれている)が掲載されています。例えば最初のリストの実装であれば、以下のファイルを書き換えていく形になります。

https://github.com/fpinscala/fpinscala/blob/master/exercises/src/main/scala/fpinscala/datastructures/List.scala

関数のひな形が掲載されているものはコードの本体が「sys.error("todo")」となっていて、実行するとエラーになるようになっています。まずはこの「sys.error("todo")」という部分を削除して実装を始めることになります。

def tail[A](l: List[A]): List[A] = sys.error("todo")

def tail[A](l: List[A]): List[A] = l match { ... }

なぜか関数のひな形が書かれていないものや、本誌に書かれたひな形と引数名が違ったりするものも有りますが、後述のanswerに書かれている回答の関数名と、引数、返値を見ながら進めると良いでしょう。

answer

exerciseの回答と、その解説が書かれています。

先ほどのListの回答は、以下のファイルに書かれています。

https://github.com/fpinscala/fpinscala/blob/master/answers/src/main/scala/fpinscala/datastructures/List.scala

answerkey

exerciseの回答がファイル別に置かれています。また、回答ごとに、ヒントも置かれているので、まずはこのヒントを見ながら実装していくと良いでしょう。

コンパイルと、実行

exerciseのディレクトリ配下に置かれているファイルを書き換えながら進めていくので、exerciseのディレクトリだけがコンパイルされるようにsbt上のプロジェクトを切り替えておきます。

また、compileコマンドでエラーが無いことを確認したら、consoleコマンドScalaのREPL(Read-eval-print loop)が起動するので、そのまま実装したパッケージ(Listでいえば、fpinscala.datastructures)をロードすることで、実装の確認ができます。

$ ./sbt
> project exercise
> compile
> console
scala> import fpinscala.datastructures._
scala> val x = List.Cons(1, Cons(2, Nil))
...

エラーが出たり、挙動が正しく無いときは、実装の正しさを、answerか、answerkeyを参照して確認します。

あとはひたすら繰り返しです。頑張りましょう。

runコマンド

なお、例題によってはmain関数を起動するものも有ります(第2章のgettingstartedなど)。それらのmain関数を起動するときはsbtからrunコマンドを実行します。

プロジェクトの中には、複数のmain関数が有るので、どれを起動するか選択するリストが表示されます。パッケージ名を確認して、該当する番号を入力して、エンターキーを押下してください。

> run
...
Multiple main classes detected, select one to run:

 [1] fpinscala.streamingio.ProcessTest
 [2] fpinscala.gettingstarted.MyModule
 [3] fpinscala.gettingstarted.FormatAbsAndFactorial
 [4] fpinscala.gettingstarted.TestFib
 [5] fpinscala.gettingstarted.AnonymousFunctions
 [6] fpinscala.iomonad.IO2aTests
 [7] fpinscala.iomonad.IO2bTests

Enter number:

実装の記録(tips)

exerciseのファイルには、関数のひな形は書かれていても、対象のexerciseの番号が書かれていません。あとで振り返ったときに分かりづらいので、コメントでexerciseの番号を書いておくと便利です(「// exercise 3.3」のような形式で書いておきます)。

また、いろいろと自分で気がついたところも都度コメントで残しておくと、あとで振り返ったときに便利です。

章ごとに実装が終わったら、gitでコミットしておくとよいでしょう。

また、急激に難易度が上がるところや、最初から「難問」と書かれているような例題も有りますが、そうゆうときはさっさとanswerのコードを写経して、挙動や実装の背景を理解するようにシフトした方が良いでしょう。そのときに気がついたことをひたすらコメントで残しておく方が理解が早いでしょう。

テストコードの追加

sbtconsoleを使って実行結果を確認しても良いですが、いまどき実行結果はテストコードを書いて、テスト結果で確認すべきです。

以下に、exerciseで書いたコードをテストコードで確認する方法を紹介します。

Scalaのテスティングフレームワークとしては、ScalaTestか、Specs2がよく使われていますが、ここではScalaTestを使うことにします。

ScalaTest

依存ライブラリの追加

Build.scalaのoptsに、ScalaTestへの依存を追加します。

resolversの最後にカンマを追加するのを忘れないように。

val opts = Project.defaultSettings ++ Seq(
  scalaVersion := "2.11.7",
  resolvers += "Typesafe Repository" at "http://repo.typesafe.com/typesafe/releases/",
  libraryDependencies += "org.scalatest" %% "scalatest" % "3.0.0" % "test"
)

テストコードの追加

exercises/src/test/scala/fpinscala/datastructures/ListTest.scalaというテストコードのファイルを用意します。パスの3番目がtestになっていることに注意して下さい。Javaではおなじみですが、テストコードはtestディレクトリに保存します。

例えば、3章で出てくるtailメソッドのテストコードは以下のように書けます。

ScalaTestではいくつかのテストスタイルが使えますが、ここでは一番シンプルに書けるFunSuiteを使っています。

最後のshould equalで期待する値との比較をしています。

import org.scalatest._

import fpinscala.datastructures._

class ListSuite extends FunSuite with Matchers {
  test("tailメソッドは先頭の要素を削除する") {
    val listInt = List(1, 2, 3)
    val listDouble = List(1.0, 2.0, 3.0)
    val listString = List("one", "two", "three")

    List.tail(listInt) should equal (List(2, 3))
    List.tail(listDouble) should equal (List(2.0, 3.0))
    List.tail(listString) should equal (List("two", "three"))
  }
}

テストはsbtから実行します。

$ ./sbt
> test
...
[info] ListSuite:
[info] - tailメソッドは先頭の要素を削除する
...
[success]...

最後に[success]が出力されればテスト全体が成功したことになります。テストが一つでも失敗すると[error]が表示されます。

どうように3章に出てくるsetHeadメソッドのテストを追加します。

import org.scalatest._

import fpinscala.datastructures._

class ListSuite extends FunSuite with Matchers {
  val listInt = List(1, 2, 3)
  val listDouble = List(1.0, 2.0, 3.0)
  val listString = List("one", "two", "three")

  test("tailメソッドは先頭の要素を削除する") {
    List.tail(listInt) should equal (List(2, 3))
    List.tail(listDouble) should equal (List(2.0, 3.0))
    List.tail(listString) should equal (List("two", "three"))
  }

  test("setHeadメソッドは先頭の要素を置き換える") {
    List.setHead(listInt, 4) should equal (List(4, 2, 3))
    List.setHead(listDouble, 4) should equal (List(4.0, 2.0, 3.0))
    List.setHead(listString, "four") should equal (List("four", "two", "three"))
  }
}

Chapter Note

すべて英語で書かれていますが、本書に載っていないChapter NotesがGitHubWikiに有りますので、時間に余裕があればこちらも読んでおくと参考になります。

Home · fpinscala/fpinscala Wiki · GitHub

おわりに

Scala関数型デザイン&プログラミング」は非常に噛み応えが有るというか、じっくり取り組む必要が有るし、exerciseのコードを書いてみても、書いたことの意味をきちんと解説してくれる人が近くにいないと、挫折し易いというか、本当にストロングスタイルな本ですが、最後まで進めると確実に実力がつく良本ですね。

Scala関数型デザイン&プログラミング」はScalaの入門書ではないので、Scalaの入門書としては元祖Scalaの解説本である「Scalaスケーラブルプログラミング」の方がおすすめです。つい先日最新の第3版が邦訳されました。

Scalaスケーラブルプログラミング第3版

Scalaスケーラブルプログラミング第3版

なお、技術書と言えば定番のO'Reillyからも何冊かScala本がリリースされていますが、邦訳がなかなかリリースされないですね。

Programming Scala: Scalability = Functional Programming + Objects

Programming Scala: Scalability = Functional Programming + Objects

Learning Scala: Practical Functional Programming for the JVM

Learning Scala: Practical Functional Programming for the JVM

Scala Cookbook

Scala Cookbook

キチスカ001を開催しました

kichijojiscala.connpass.com

去年、2回ほどKichijojipm-mini名義で開催した「Scala関数型デザイン&プログラミング」の読書会ですが、その後自分が多忙になり、とても吉祥寺.pmと併走できない感じだったので、ずっと再開できないままでした。

 

今回、再開のリクエストを頂いたので、イベント名も新たに「キチスカ」という名前で再開しました。10ヶ月近く経っているので、仕切り直しで最初からのスタートです。

 

前回は、完全に本文を全部読み上げる形式で進めましたが、今回は1章、2章あたりをつまみ読みしながら分からないところをお互いに発表する形式で進めてみました。

 

以下、感想というか、今後継続するにあたっての検討事項いくつか。

  • そもそもScala関数型デザイン&プログラミング」自体がScalaという言語自体の入門書ではないので、Scalaという言語自体も一緒に学ぼうとするとけっこう混乱する。
  • 特に最初の1章、2章に載っているコード例がそのままでは実行できないので、よく分からない。
  • 最初に、scalaのインストールと実行までのハンズオンをやった方が良さそう。
  • 副作用の意味と、副作用を取り除くことのメリットを理解するには、あのページでは足りないので、別のコード例を用意した方が良さそう。
  • 2章の再帰、高位関数あたりも、別のコード例を用意した方が良さそう。
  • 3章、4章はしっかりやった方が良いので、みんなでコードを書きながらやりたい。
  • 個人的な感覚では、5章で更にハードルが高くなると思うので、そこが超えられるか?
  • インストールが難しいという印象が有るっぽい。

3週間後くらいに2回目をやりたいので、この辺の課題を解決する準備をしないと。